Human being=Cocco
人間が野生動物だったら
30年以上は生きられないように
できているらしい。
2007年、
私は今年30歳になる。
野生動物として
生きることを許された最期の時。


幼い頃
私は川エビを捕って食べた。
裸に水中メガネと網、
口の中で粉々にした生イモを
茂みの下へ威勢よくぶちまけて
水中でじっとエビを待つ。
網に追い込んで手掴み、
あとは食べるだけ。
食べて食べて食べまくって
結果エビアレルギーになった。
川中のエビを食べ尽くした私へ
川の主からの罰だったと想う。
以来エビは一切捕っていない。
触れてもいない。
匂いだけでじんましんが出る。
野生動物としては失格だ。
食物連鎖を無視して
己一人で食べ尽くしたのだから。
そういう馬鹿な人間は
養殖やら放流やらで
その罪を償うのがオチだけれど
それすら未だ果たせていない。
源河川の神様ごめんなさい。
こんな私ももう
野生動物としての生涯を終えます。


これから私は
野生のほ乳類ヒト科ではなく
文明人という新種の生物として
人生を歩いていく。
昔話の桃太郎の“おばあさん”が
30代やそこらだった時代から
人類は驚異的な進化を遂げ
既に動物としてのあらゆる機能は
失ったに等しい。
悲しいかな、いやいや
それでも万歳長寿ワールド!


100まで生きるとして
あと70年のおまけ人生
なんとでっかいおまけを
もらったことだろう。
手持ちぶさたにしないで
大事に生きよう。
海に問うて、川に訊ねて
山に習って、恵みを受けよう。
歯だって爪だって筋肉だって
野生動物なら寿命なんだもの。
よくぞここまできたもんだ。
人生楽しく生きよう。
素直に単純にがんばっていこう。


いつも裸足で駆けてきた。
まだまだ野生動物だったから
靴なんかいらなかったよ。
ただ走るだけでよかった。
誰を傷つけても
誰を失くしても
ただひたすら走るだけで
ここまで生きて来られた。


やさしくなりたいなぁ。


やさしくなりたいと願う。
他人に自分に
やさしくなりたい。


空、月、光、風、水、山、海、
全ての神様ありがとう。
私に命をありがとう。
ここまで生かせて頂きました。
これから私は
超微力ながらに恩返しを。
今、大地を駆け回る
野生動物たちの未来を
それをとりまく現実を。
何かお手伝いできること。
この手でできることが
きっといっぱいあるんだ。
これからの私にできること。


もう立派な大人として
胸を張って、大事に。
大事に生きて。
生きて行けたら
きっといつか。